GHR的競馬理論とは何か

競馬は同じ条件が二度と揃わない世界です。馬場、枠、風、展開、相手関係、騎手の判断、馬の当日の気配。こうした要素が複雑に絡み合い、結果は簡単にブレます。だからこそGHRは、表面的な結果(着順)だけを追いかけません。
レースを「構造」として捉え、馬を「能力の発現条件」として捉え、最後にオッズ(市場)を「心理」として読み解きます。

この理論の核心は、次の一文に集約されます。

「この舞台で能力が発現する馬」を構造で特定し、市場が過小評価しているところだけを買う。


GHRを支える3つの柱

GHRは、予想を数値化しながらも、数値に支配されません。その理由は、競馬を捉えるための哲学(前提)が明確だからです。

馬の能力とは一定に再現できるものではない

馬の能力は固定値ではありません。
同じ馬が、条件ひとつで“別馬”のように走ることがある。これは気分や偶然ではなく、能力が発現する条件が変わる からです。
GHRはこの現象を「ブレ」として切り捨てず、能力発現の条件=構造 として説明しにいきます。

馬の走り方を決めるのは騎手

馬は「1600mだからこの配分で走ろう」とは思いません。
実際には、テンの速さ、コーナーの減速、直線の伸び、馬場の抵抗、隊列の密度など、レースの流れそのものが脚の使い方を決めます。
つまり距離よりも、どういうラップ構造で走らされたか が重要になる。

同じ血統でも育成で変わる

血統は設計図ですが、設計図どおりの建物が立つとは限りません。
牧場・厩舎・ローテ・調教・騎手判断など、「育成と運用」が設計図の再現度を左右します。
GHRでは血統を過信しません。血統は“可能性の形”であり、現実にどう走ったか(実績)との整合を必ず確認します。


GHRの予想は「5つの工程」でできている

GHRの予想は、感覚やひらめきではなく、工程(プロセス)として組み立てます。
この工程があるから、予想を検証でき、改善でき、再現できます。

① レースの可視化(レースプロファイリング)

まずレース側を理解します。
GHRにおける「レース」とは、馬が走る舞台装置であり、そこで要求される能力の条件セットです。

レースプロファイルは次の3点で構成されます。

  • コース形態(形状が作る有利不利)
  • レースラップ(展開の分類と予測)
  • 仮想通過順(出走馬から隊列を作り、どこで力学が変わるかを見る)

② 競走馬の可視化(馬プロファイリング)

次に馬側を理解します。
馬を「強い/弱い」で語るのではなく、どういう構造条件で能力が立ち上がる馬か を整理します。

馬プロファイルは次の3要素が基本です。

  • 血統(設計図)
  • 育成(牧場・厩舎=設計図の再現度)
  • 実績(現象):どの構造で好走して、どの構造で崩れたか

③ レース・馬マッチング(合致/ズレの判定)

レースが要求する構造と、馬が発現できる構造を重ねます。
ここがGHRの心臓部です。

  • 合致しているなら、能力は出やすい
  • ズレているなら、能力は出にくい
  • ただし「ズレても走れるズバ抜けた能力の馬」もいる(構造柔軟型・構造創造型)

④ 仮想ラップ構築(展開予測)

展開は運ではありません。
出走馬の脚質・気性・先行圧・枠・隊列から、レースがどの型に寄るか を予測します。

⑤ オッズ乖離考察(投資判断)

最後にオッズです。
GHRでは「人気=強さ」とは考えません。人気は市場心理の産物であり、過剰人気/過小評価 が常に存在する。
構造評価とオッズが乖離しているところに、投資価値(EV)が生まれます。


レースプロファイル:レースを「3つの型」で捉える

GHRではレースのラップ構造を、次の3分類で整理します。

瞬発戦(後傾)

前半が緩み、直線の上がり勝負になりやすい型。
ここでは「直線で速い脚を使えるか」が最重要で、位置取りよりも“末脚の質”が問われます。ただし、東京のように直線が長いコースでは、単なる瞬発力だけでなく、速い脚を長く使う持続力 も同時に必要になることが多い。

消耗戦(前傾)

前半から速く、道中も緩まず、スタミナが削られる型。
こうなると瞬発力の価値が下がり、追走力・持久力・馬力 が前面に出ます。差し馬が届くように見えて、実際には“追走で脚を使わされない位置”を取れる馬が強い、という矛盾が生まれやすい。

持久戦(イーブン)

極端に偏らず、一定の負荷が続く型。
この型は「総合力の耐久テスト」になりやすく、脚を溜めるだけの馬より、一定負荷の中でリズムを維持できる馬 が浮上する。


仮想通過順:展開を「物語」ではなく「力学」で組む

展開予想を感想文にしないために、GHRは仮想通過順を作ります。
重要なのは「逃げが残るか」ではなく、隊列の密度と先行圧 です。

  • 逃げ馬が何頭いるか
  • 逃げたい馬が内か外か
  • 先行したい馬がどれだけいるか
  • “番手で我慢できない馬”がいるか
  • 差し馬が多いと、前が遅くなるのか、逆に前が締まるのか
  • どの地点で動きが起きるか(3角の上り、4角の下り、直線入口など)

GHRのポイントは「展開が向いた/向かない」を言うことではありません。
展開を“活かした”のか、“壊した”のか を評価します。

とくに重要視するのが 展開創出型
これは、周りに合わせるのではなく、自分の走りやすい型へレースを持ち込める馬です。展開創出型は、条件が噛み合ったときに“再現性の高い強さ”を出します。


馬プロファイル:血統・育成・実績を「整合性」で読む

GHRの馬プロファイルは、血統診断でも、戦績羅列でもありません。
設計図と現象の整合性をチェックし、能力発現条件を特定する 作業です。

血統は「国別主流構造」で大枠を掴む

GHRは血統を細かい枝葉で覚えません。
日本型/アメリカ型/欧州型という主流条件の違いを軸に、“どの環境で能力が立ち上がる設計か”を見る。

  • 日本型:高速芝・根幹距離・瞬発力
  • アメリカ型:土ダート・テン速い持久戦・前向きさ
  • 欧州型:タフ芝・起伏・消耗戦・底力・日本の砂競馬

この大枠でまず整理し、レース条件に対する適合性を考えます。

育成は「血の再現度」

同じ血統でも、育成で別物になります。
仕上がりの早さ、体質の強さ、気性の方向、走りのフォーム。
ここを“人が作る領域”として評価するのがGHRです。

実績は「どの構造で走ったか」

勝った/負けたの事実より、
どの型のレースで、どの位置で、どんな脚の使い方をしたか が重要です。

さらに、GHRはここで必ず「ズレ評価」を入れます。


ズレ評価:GHRの最大の武器

ズレとは、設計図(血統)と現象(実績)が一致しないことです。

  • 血統的には合いそうなのに走らない
  • 血統的には合わないのに走る
  • 典型的な構造ではなく、例外的な形で走る

このズレを「例外」で片付けると、予想は当たり外れの運ゲーになります。
GHRはズレを“現象”として扱い、理由を分解します。

  • 位置取り(距離ロス、外を回された、包まれた)
  • 馬場(高速/タフ、含水、内外差)
  • ペース(追走負荷、緩急、息の入り方)
  • ローテと仕上げ(成長段階、使い減り、疲労)
  • 騎手判断(仕掛け所、抑え方、進路選択)

このズレを理解すると、
「次に条件が噛み合ったときの激走」
「人気で買うべきではない危険な人気馬」
が見えるようになります。


合致度:レースと馬の“噛み合い”を数値ではなく概念で統一する

GHRでは最終的に、レースと馬の整合を「合致度」としてまとめます。
これは単なる点数遊びではなく、予想の意思決定をブレさせないための共通言語です。

  • 合致度高=再現性が高い
  • 合致度低=条件依存で揺らぎやすい
  • 合致度中=展開や馬場で上下する(シナリオ依存)

この整理があるから、A案B案C案のような分岐予想 が可能になります。
GHRのシナリオ分岐は「迷い」ではなく、揺らぎを前提とした“設計”です。


BTS / PP / EV:GHRを実戦モデルに落とす

GHRは「構造理解」で終わりません。
最終的には投資としての判断へ落とします。

BTS(構造層)

コース×血統×展開の整合性をスコア化する考え方。
ただしGHRの思想では、BTSは“真理”ではなく、構造を見落とさないための補助線です。

PP(補正層)

枠や脚質、騎手・厩舎・生産、着度数などで補正し、
「能力が出る前提の上で、どれだけ実戦的に信頼できるか」を整えます。

ここで重要なのが、平均でならさないこと。
ロバストな考え方(極端値への耐性)を持ち、サンプルの弱さは収縮させ、過信を避ける。
GHRが“耐分散型”である理由がここにあります。

EV(心理層)

最後に市場との勝負です。
オッズは強さではなく、群衆の判断。
だからこそ、構造評価とオッズが乖離したところに価値が生まれます。

  • 構造的に買えるのに人気がない=妙味
  • 構造的に危ないのに人気がある=過剰人気

GHRは「当てる」ことより、
価値のあるところだけを買う ことで、長期の期待値を取りに行きます。


“揺らぎ”を組み込む:主流ほど安定、非主流ほどブレる

競馬の揺らぎは消せません。
GHRは揺らぎを恐れず、性質を見極めます。

  • 主流条件(王道の適性が素直に問われる)ほど、能力の再現は安定して出やすい
  • 非主流条件(特殊条件・局所要因が勝負を決める)ほど、能力の再現は揺らぎやすい

だから予想は、基本工程を変えずに、
揺らぐ可能性が高いレースほどシナリオを複数持ち、買い方で吸収する
これがGHRの「分散に耐える」実戦設計です。


まとめ:GHRは“競馬を構造で説明し、市場で勝つ”ための理論

GHR的競馬理論は、競馬を次の順で扱います。

  1. レースを構造として可視化する
  2. 馬を能力発現条件として可視化する
  3. 合致/ズレを判定し、シナリオを設計する
  4. オッズ乖離で価値を取りに行く
  5. 結果を検証し、次のプロファイル精度を上げる

競馬は当てものではありません。
同じ舞台は二度と来ないからこそ、構造として理解し、再現性のある勝ち筋を拾い続ける
それがGHRです。

筆:GORONAGO

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